逆流性食道炎(胃食道逆流症)の治療の基本は薬物治療です。
胃酸の分泌を強力に抑えるプロトンポンプ阻害薬という薬を使います。
その代表的な薬がネキシウムです。
ネキシウムは2011年9月に発売されたわが国で4番目となるプロトンポンプ阻害薬で、作用が強いので数々の実績があり、発売以来毎年売り上げを伸ばしています。
逆流性食道炎と診断がつけば、多くの医師が第一選択薬として選んでいるのがネキシウムです。

胃酸が出る前に服用する方が効果があるので、通常は1日1回、朝食の30分~60分前に飲みますが、胃酸の分泌は夜間に亢進するので夕食前や就寝前に服用することもあります。

ネキシウムを8週間続けて服用することで、逆流性食道炎の7~8割の患者さんに炎症を改善する効果があると報告されています。
非びらん性の胃食道逆流症の場合は、4週間続けて服用することで約5割の患者さんに効果があるとされています。

ネキシウムで症状が改善した後に服用を中止すると、6カ月で83%の人が再発したという報告があるので、長期間服用を続ける必要があります。
ネキシウムは長期間服用しても重い副作用はほとんどありません。
安全性が高いことが特徴です。
発売以来毎年売り上げを伸ばしているのは、効果が強いことのほかにこのような確かな安全性も関与していると思われます。

症状が改善した場合は患者さん自身の判断で、症状があるときだけとか症状が出そうなときに薬を飲み始めて、症状が改善すれば薬の服用をいったん中止するというオンデマンド療法が効果があると考えられています。
この療法は患者さん自身で行う療法ですが、自己判断しないで必ず医師に相談の上で行ってください。

ネキシウムで重篤な副作用が起きることは非常にまれです。
しかし、どんな薬でも用量用法を守って医師の指示通りに服用しないと、思わぬ事態に陥る可能性はあります。
必ず、用量用法を守って服用してください。
また、服用中に何らかの異変を感じた場合は、担当医に連絡しましょう。

逆流性食道炎は口臭にも影響が出る

逆流性食道炎は日本人には少ない病気でした。
しかしここ20年ほどの間で増加傾向にあります。現在は日本人のおよそ5~10人に1人の割合で発症しています。

逆流性食道炎になるとげっぷがよく出ます。
また、胸やけや胸の痛み、呑酸といって酸っぱいものが喉や口の中にこみあげてくる症状も特徴的です。
胸やけなどの症状は夜間に強くなることが多く、胸やけが原因で不眠になることもあります。また、胸が痛くなることもあります。
心臓が悪いのかと心電図などの検査を受けても、心臓はどこも悪くありません。
しかし胸が痛いので、不安になって不眠を招くこともあります。時には嘔吐することもあります。
脂っこい肉料理や甘いデザートや消化の悪い物をお腹いっぱい食べた時などに嘔吐しやすい傾向があります。

この、げっぷや呑酸が口臭の原因となることがあります。酸が喉まで上がってくると、鼻をツンと突くような酸っぱい口臭がします。
げっぷは消化不良の食べ物の匂いがすることもあります。
口臭を消そうとガムをかんだり口臭対策のサプリメントを使う人も多いのですが、残念ながら一時しのぎだったり、ガムやサプリメントの匂いと口臭が混じった臭いになるだけでしょう。
根本的に口臭をなくすには、逆流性食道炎を治療することが重要です。

逆流性食道炎には、2つのタイプがあります。
胃酸で食道の粘膜が傷ついて炎症や赤くただれたびらんが起きているタイプと、食道に炎症やびらんはないけど食道の粘膜が過敏になっているタイプです。
前者は高齢者や肥満の人に多く、非びらん性の後者は日本人の胃食道逆流症の約6割を占めていて、若い20~40歳代のやせ型の女性に多い傾向があります。

ネキシウムを服用すると、ほとんどの逆流性食道炎は改善して口臭もなくなります。
薬物治療以外で患者さんが自分自身でできることとしては、食べ過ぎや早食いを避けることや、食事の後すぐに寝ないことが挙げられます。
できれば寝る2時間前以降は飲食を控えるのが理想的です。
これは逆流性食道炎に限らず肥満や糖尿病などの生活習慣病の予防にもなります。
また、揚げ物などの高脂肪の食事は胃酸が多くなるので食べ過ぎないようにしてください。
喫煙している人は禁煙が必須です。肥満している人は減量しましょう。